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携帯型心理診断・鎮圧執行システム・ドミネーター 『PSYCHO-PASS』
おはよう、セカイ。
人間は、社会的な生き物だ。
集団ができれば自然とグループが生まれ、そこには序列が生じる。
なんとも健気で、愛くるしい存在だと思う。
陽キャグループ、陰キャグループ、そのどちらでもないグループ。
あなたにも、そんな記憶がきっとあるはずだ。
それはまるで、熟練の職人が何年もかけて培った技のように自然で、無自覚だ。
運動ができるかどうか。話がうまいか。頭がいいか。収入があるか。社会的地位があるか。
――そんなものを比べては、マウントを取り合い、
「自分にはあいつのような〇〇がない」と、
嘆きながら劣等感の沼に沈んでいく。
そんな社会的な動物にとって、欠かせないもの。
それが、「信用」という概念だ。
信用のある人間は、仲間ができる。
信用のない人間は、排除される。
私はそれを、道徳と同じように自然に身につくものだと思っていた。
だが、そうではなかった。
「信用スコア」
その導入は、お金に支配される世界が極まった証のように思える。
信用のスコア化を描いたSF作品は、枚挙にいとまがない。
だが、それが現実に実装されるとなれば、やはりゾッとするものだ。
これだけ多くの人が暮らす社会だ。もちろん、メリットもある。
見ず知らずの他人を、無条件で信用するわけにはいかない。
とりわけ「お金を貸す」となれば、なおさらだ。
信頼できる友人にすら、お金を貸す・借りるとなれば、ためらいが生まれる。
「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉があるように、
金と縁は切っても切れない関係にあるようだ。
その話題に触れた途端、関係が壊れてしまいそうで、その話題を避けがちだ。
けれど、その社会においては、人の感覚などは二の次になるだろう。
もしそれが一生を共にする相手なら、本当にスコアだけで語っていいものだろうか。
もちろん、病院の待合室やアプリ上のマッチング――
そんな浅い関係なら、数値だけで判断さても構わない。行ったこともないレストランを、レビューで選ぶのと同じように。
信用スコアによって人の住む場所すら分断される未来。
表参道を歩くセレブが信用できるとは思わない。かといって、文化を尊重しない外国人と同じ街で暮らしたいとも思わない。私はそのどちらとも、友達にはなれない気がしている。
けれどもし、私の大好きな友達が、信用スコア激低だったら。
私は、その付き合い方を見直すのだろうか?
心情的にはそうはしたくないし、一生涯の友達なら、スコアが低くてもその人を愛したいと思う方なのだが。
私たちはいずれ社会で根付いた「信用スコア」の奴隷になるのかもしれない。
さも楽天ポイントを貯めるかのように。
さよなら、セカイ。